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炎魔地獄トップ

※壁紙色、本文の文字色などは雑誌連載時と同じ雰囲気にしてあります。

「なんちゅうたって 亡者の絶対数がたんねーんだよな──
 ここだけじゃねえぜ 血の池のほうのサイコワットも そうとうおちてるってよ
 地獄界が巨大都市化してるってのに 地獄界の動力源…亡者の精神
(サイコ)エネルギーが
 不足したんじゃおしめえだぜ」
とがった岩をマンションにしたような建物のある都市と、張り巡らされた道路の見える夜景。
ここは地獄界。先程の串刺しは、精神エネルギーを抽出する為の亡者へのしごきだったのだ。

場面変わって、会議室らしき部屋。テーブルを囲んで天狗、龍、河童、三つ目、鬼、提灯顔の者もいる。
天狗が書類を見ながら中央の背広の人物に報告する。
天狗「停電 ガス欠 断水などなど 今年に入ってからの住民の苦情が殺到しておりまして」
閻魔大王「ううむ 地獄のエネルギー問題も深刻化してきおったのう」
天狗「このままいきますと 数年後には都市の機能がマヒするのは目に見えております
 原因は悪人が長生きをするなど いろいろありますが…
 一番には地獄人
(じごくじん)の人口増加と テレビ クーラーなどの
 文化用品の増加がおもな原因でごさいまして……
 このあたりで 思いきった対策が必要かと思われます」
閻魔大王「わかっとる!わかっとる!
 要はエネルギー不足を解消すりゃあーええんじゃろう ウルセーッ!!」
国会議事堂そっくりの建物(右半分は尖った岩が生えている)で会議が続く中、正門前に一台の車が来た。
正門には「閻魔庁」との看板がある事から、この建物は地獄の中枢機関と推測される。
車中の人物が窓から手を伸ばして何やら札を見せ、門番の鬼が「どうぞ」と丁重に通門許可を出す。
閻魔大王「そのために特殊任務を行う者が まもなくここにくる!
 ゴチャゴチャごたくをならべず 地獄界のことは この閻魔にまかせとけや!!
 舌抜いたるド ワリャー!!」
ドンと机を叩く、まるでどっかの組長のようなこの背広の御仁こそ、地獄界の閻魔大王様その人だ。

車が停車し、誰かが降りて来る。着物の女性、帽子とマントを纏った青年、真ん中に河童。
最初に河童が喋る。
カパエル「クケケケ わてらが閻魔庁の呼びだしをうけるのは ひさしぶりや──
 なんやろなー炎魔くん……?
 わてらのようなワルが なんぞお国の役にたちますんかいの……?クケケ」
炎魔くん「さーな 閻魔のオジキの考えることだ どうせろくなこっちゃなかろう……」
この炎魔と呼ばれる青年こそ閻魔大王の甥っ子。今回の切り札である。
3人は閻魔庁の中へ。
炎魔くん「ヨーウ オジキおれたちに用だってな………だがよ!もう妖怪狩りならごめんだぜ!」
閻魔大王「オ──ッ 炎魔 ワレきおったの ワハハハハ(訳:お前さんよく来たな)
 イヤーひさしぶりやのう 妖怪パトロールやったころ以来かの……
 ガキやとおもうてたら 色男になりおってコノー ワハハハ」
席を立ち、笑顔で3人を迎える閻魔大王様。妖パト以来って…随分長いこと会ってないんだ。
しかし何故カパエルだけじゃなく大王様まで関西弁…。
炎魔くん「オジキ あいさつは抜きにしな なんぞ用をいいつけたくて呼んだんじゃねーのかい?」
閻魔大王「ウハハハハ じつはそうなんじゃ ようけわかってんのワレ……クヘヘ………」
炎魔くん「それも人間界の用事だろう ふふふ」
今度は炎魔くんの頭の上の帽子が喋る。
シャポー「クエッ クエッ 地獄界の暴れん坊 炎魔に用事をいいつけて 地獄界から追っぱらう
 一石二鳥いうわけじゃ カッカッカッ 図星じゃろ」
炎魔くん「ふふふ オジキの考えそうなことよ……」
閻魔大王「ワハハハ  そういわれればミもフタもない……まあーかけろや
 ワハハハ きついのうシャポーじい」
シャポー「クエッ クエッ おみとおしよー カカカカ」
閻魔大王「ま〜〜ブッチャケた話 そんなとこや……ワハハハ おこらんでね炎魔」
腰の低い大王様になったなあ。読まれてるし。昔の威厳はいずこ……(T_T)
閻魔大王「じつはな……知ってのとおり地獄界は 亡者をシゴキにかけ…
 そのとき亡者が発する精神エネルギーで 日々の生活が営まれておる」
背景に釜茹でされる亡者達の風景。
着物の女性がここで初めて発言する。
雪子姫「わかったわ エネルギー問題ね……さしずめ亡者獲得かしら」
閻魔大王「ワハハハさすがは雪子姫 さっしがよろしいわ つまりは悪人狩りちゅうわけや
 事態は深刻じゃ 悪党が地獄へおちてくるのを まっとるわけにはいかんようになったんや」
カパエル「ヘエー 積極的におとさなならんのケ ケッケッケッ」
閻魔大王「そういうこっちゃ……
 数年後には 地獄界の必要とする精神エネルギーは 現在の二倍となる!
 なにがなんでも…悪党を殺
(や)っちゃれ!」
うむむむむ………とても閻魔大王様の言葉とは思えない発言である。
炎魔くん「つまりは地獄の殺し屋……ククク おもしれえぜ……オジキよ
 オジキにしちゃー上
(じょう)できよ 気のきいた仕事をまわしてくれたぜ…
 で…悪党かどうかの規準だが……」
閻魔大王「むろん 悪事をはたらいた者が悪党じゃよ 地獄へおとしたれ!
 なにが悪事かは……おまえらの判断ひとつじゃ……」
炎魔くん「ふふふ おれが法律ちゅうわけか?
 クックックッ そうこなくちゃな やる気がおこらねえ!」
ワルと自称する輩にそんな事をさせたら何が起こるか目に見えるのだけど…。
大王様に見送られ、部屋を出る4人。
閻魔大王「ワハハハ 地獄界の未来はしょくんの健闘にかかっちょる わいらの地獄をバラ色に!」
カパエル「ケケッ バラ色の地獄やて」
炎魔くん「クククク 亡者の血の上にさく バラ色の地獄世界か……けっこうな図だぜ」
ここで各キャラの紹介が入る。
(妖怪シャポーじい)年をへた帽子が妖怪化したもの 炎魔くんおつきのじいや
(炎魔くん)地獄界の権力をにぎる閻魔大王家の問題児
(雪子姫)妖怪雪女族の姫君 炎魔の恋人
(カパエル)妖怪河童族とカエルの混血妖怪 炎魔の幼なじみ

そして人間界。新聞は大騒ぎ。
東京 謎の大火災 深夜数十か所より一せい出火 死者数万人にも……
炎魔くん「グッグッグッ」
炎を上げるビル郡をバックに笑う炎魔のシルエット。
ニューヨーク大寒波に襲わる 凍死者数千人!! 都市機能は完全にマヒ状態におちいる!!
雪子姫「ホホホ」
車もビルも凍りついている。不敵に笑う雪子姫。まさに冷徹な雪女。
真夏の夜のミステリー 大衆浴場で女性客20名おぼれ死ぬ!!
カパエル「クケケケ」
笑うカパエルのシルエット。風呂場で女性狙いなのが彼らしい。

かくして悪党狩りと言うより皆殺しと言う方が相応しい炎魔達の活躍!?で、地獄にはかつてない程の大量の亡者達がなだれ込み、見渡す限り亡者、亡者、亡者で埋まっている。
鬼1「うは〜〜すごいこみようだな〜〜」
鬼2「地獄始まって以来やで」
鬼3「こら〜〜ぎょうさんサイコエネルギーがとれまっせ」
鬼4「ハーイ 八つ裂きコースはこっちだよ〜〜」
鬼5「釜ゆで〜〜 釜ゆで〜〜 おさないでおさないで」
目印の幟を持ちながら、鬼達も大忙し。サイコワットメーター値もうなぎ上りになる。
鬼6「す すごい 一回で八万サイコワットだー これなら残業なしの土曜休暇ありだー」
地獄にもそんな習慣あったのか…。

大王様はこれでエネルギー問題は解消と上機嫌だ。
閻魔大王「わっはははは やったぞ── さすが炎魔じゃ わいのオイや──やりおるわい!」
天狗「し しかし すこしやりすぎでは……」
閻魔大王「やりすぎ?なにがやりすぎなもんか あのぐらい
 これでエネルギー問題は解決だ!このまま炎魔にやらせとけ」
天狗「しかし だまってますでしょうかね………
 われわれは長年の条約をやぶっているのですぞ閣下」
閻魔大王「だまってる………?だれが?」
天狗「むろん 天国ですよ バレますよ」
閻魔大王「あっ!! ムムム天国… そうかそいつを忘れておったあ バレるかの……」
天狗「はい ああはででは…… 天国もサイコエネルギーで動いておりますゆえ」
忘れてたって大王様、一国…いや、死後の世界を支配する代表がうっかりではすみません。
天狗も予想してたんだったら事前に止めるとか助言くらいしろよ。止めたら話進まないけど。
閻魔大王「バレたらどうなる……?」
天狗「たぶん 戦争に!
閻魔大王「ウルセエーやったろやないけー」
ドン!!と机を叩き、啖呵を切る大王様。やる気充分のようだ。やめてくれよ…。

一方の天国の中心都市シャカムニ・シティ。こちらも高層ビルがひしめく近代都市の様相を呈している。
雲の上ではえっちぃ〜な大人の世界が広がっている。台詞は割愛させて頂きます。
それを見下ろす2人の子供天使。一人は『イヤハヤ南友(なんとも)』くん!嬉!
南友「イヤァー 愛っていつみても ほんとにいいもんですねー イッヒッヒ」
天使「なにかこうテレますな──ウッシッシ」
南友「このはなばなしさなら サイコワットもそうとういくでしょう」
帽子を冠った天使(これが南友くんだ!知らなかった人はよく覚えておくように)が期待する。
しかし期待とは裏腹に赤ちゃん天使がサイコワットの落ち込みを告げに来た。
赤ちゃん天使「ピーピー ピーチクピーチク」
南友「え〜〜?」
天使「一回のサイコワットがおちてるって? もっとがんばらせろって?」

「やはりおちていますな──」
天国もコンピューター管理になっている。メーターを見る女性天使。
女天使1「どうやら原因は霊の数がへってきているせいらしいですわ」
女天使2「はて…?」
上官らしき人物の所へ報告する女性天使。
女天使3「かなりの霊数が地獄のほうへ流れているようです」
アラーくん「おかしいな── 人の世はそれほど悪人ばかりの世の中になっているのかなー」
男天使「すこし しらべる必要がありますな」
報告を聞いているのは、インド風の少年。待遇から察するにけっこう位が高そうだ。
この少年は『アラーくん』。隠れキャラの出演も嬉しいV

天主官邸に一台の車が向かう。後光のさす女性が天主に報告している。
菩薩(仮)「天国は 霊がいろいろな愛を感じるとき発する精神エネルギーを動力としています
 そのサイコエネルギーが ここへきて急にへりだしたのです
 霊が天国へのぼらずに 地獄へおちているのです
 人の魂が天国へのぼるか地獄へおちるかは……人の一生がおわったとき
 その人の人生において 悪事と善事のどちらが重きをなしていたかで決まります……
 ですから天国へいくも地獄へいくも 一人一人の人間の生きかたしだい
 わたしたちは干渉してはいけないことになっています
 ですのにどうやらこんどの場合……地獄がわの干渉があったようなのです」
天主「な なんと 条約違反ではないか! まことであるか?」
台詞長過ぎ!入力が大変だったぞ。
菩薩「調査によりますと 地獄から三名の者が人間界へでています……
 かれらは人が悪事をしている最中に殺しています これなら簡単に地獄へおとせるわけです」
天主「ムムム きったねーまねをしやがって 地獄へおちろ!呪われろ!!」
こっちもとても天主とは思えん汚い言葉だな。地獄人に地獄へおちろとは、これもどうかと思う。
菩薩「いかがいたしましょう」
天主「戦争だ!!」
閻魔大王様といい天主といい、そんな簡単に戦争を口にするなよ。
菩薩「それは最後の手段 そのまえに一つ手だてがございます」
天主「ホウ」
菩薩「人間界で暴れている三人の地獄人を 天国へのぼらせてしまうのです
 つまり天国人
(てんごくびと)にしてしまうのです」
天主「!ややっ そんなことできるのか……?」
菩薩「恋をさせるのです 天国人とのです
 天国人と恋をしては天国へいくしかありません いかが」
逆のパターンになるかも知れない考えは毛頭ないらしい。余程自信があるんだなあ。
天主「なるほど妙案 しかし地獄人を誘惑できるような者がおるのか?」
菩薩「おります すでに人選を終えてあります お入りみなの者」
手回し良く、三名の男女が官邸に入って来る。
天主「おーなるほど その方らなら」
選ばれた三名の刺客は…
天女族の姫 羽衣姫(はごろもひめ) 炎魔を……
エンゼル族のプレイボーイ マーク・エンゼル 雪子姫を……
聖人の位に達したカエル シャカエルの娘ミカエル カパエルを……


人間界の夜。サラリーマン風の男(どう見てもトバッチリ先生)が道を歩いている。
「やれやれ今日も残業かー あ〜〜あ くたびれた」
目の前に、何と札束が一つ落ちているのを発見。
「ややっ! た……大金だ!! 落とし物だ……交番へ いやしかし」
言いながらきょろきょろ辺りをを見回し札束を懐に隠すトバッチリ。
「こんな大金 おれの一生のうちで めったに入るもんじゃない だまってりゃわかるもんか」
その時、自分の真後ろから歌声が聞こえ、ぎくり!
どろろんどろろん でろでろばあ〜
ネコババするもの だれだらば〜

振り向くと、炎魔のシルエット。
炎魔くん「おまえが今 その金といっしょにだいた悪の心!そいつを大事に地獄へ落ちな」
トバッチリ「ぎゃ〜〜っ!!」
ためらう事なく火炎放射でトバッチリを焼き殺す炎魔くん。ああ何て事を〜〜!<(ToT)>
炎魔くん「ふふ… どうだいおれの火炎の威力 灰しか残らねー」
シャポー「カカカ おみごとおみごと」
その時どこからかいい匂いが漂って来る。
炎魔くん「アン!? ここりゃいいニオイだー フニャラフガフガ」
匂いの元を辿って角を曲がる。
炎魔くん「こ ここだ」
何と炎魔もびっくり、路上にに裸の美女がいるではないか!天国から派遣された羽衣姫である。
そうとは知らない炎魔達、美しい肢体をくねらせ色気を振りまく羽衣姫にすっかりガビーン。
羽衣姫「ンー フ〜ン ウフ〜ン イヤ〜ンモ〜」
イヤ〜ンってあんた…;
普通、路上に裸のお姉ちゃんが立ってたらどう考えてもおかしいと思うもんだろうが、そこは豪ちゃん漫画だからね(笑)気にしない気にしなーい。

一方、雪子姫にもマーク・エンゼルが近付く。
雪子姫「炎魔くんおそいわね いっしょにお食事する約束なのに」
年齢が上がっても彼を「くん」づけで呼べる女は、きっと姫だけね V
ベンチで炎魔を待つ雪子姫の後ろから、スッと肩に手を触れるマーク。
雪子姫「だ…だーれ?」
マーク「ウ〜ン」
雪子姫「?!」
姫の顔を見つめ、唸るマーク。何をするのかと思いきや
マーク「あなたはなぜ美しい顔をかくすのです 髪を上げた方がいい」
雪子姫「あっ」
マークが、前髪で半分隠れている雪子姫の髪をかき上げる。おや、両目が出ると幼く見えるね。

そして川で涼んでいるカパエルの前にもミカエルが…
カパエル「夏の夜は水の底にかぎる ケケ !ドキッ」
ミカエル「ヘイベイビー あそばな〜い?」

…という所で終わり!何と中途半端な!
読み切り版衝撃のラストコマ↓

ラスト永井豪
「てなところで終わっちゃったい!マイッタ マイッタ
 一回読切だからセコイ話で終わらせようと思ってたのに
 つい悪のしりちまって話は広がる一方でガス!
 続きは適当に考えてチョ ジャーニー」

炎魔地獄 雑誌掲載版/未完

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