HOME総合リスト大辞典研究室宝物庫リンク掲示板

研究室

【アニメ】
アニメえん魔くん|アニメスタッフ|御妖船ドロロン号アニメBGMアニメED

アニメスタッフ

旧『kaosのページ(※2010年10月閉鎖)』「えん魔くんの魅力」より転載・抜粋(一部、誤字・脱字・句読点・段落等修正済み)

●アニメスタッフの巧さ●
プロなんだなぁ…てしみじみ思わされます。
作画がコケてたり、古さを否めないのも事実ですが、それを上回る細やかな配慮や、作品に対する意気込みをそこここに感じられます。
どこをどう見せれば魅せられるか、どこをどう編集すれば必要以上資金を費やさず、無駄がないか、ストーリーをわかりやすく魅せるにはどのエピソードから見せればいいか、キャラクターの性格を脚本家達がよく捕らえていて、ちょっとした台詞や、間の取り方で一段とその魅力や性格づけを確立させています。

カメラアングルや演出も巧みです。
キャラクターをアップで見せるところと、背景のバランスも巧みなら、背景でその状態だけでなく、心理描写・その場の不穏な空気までもワンカットで見せてしまう。
音楽が相乗効果をあおり、見ているモノを「えん魔くんの世界」にいざないます。

えん魔くんという作品を、脚本家が自由に書きたいものを書いているのも事実ながら、きっちりえん魔くん達を捕らえ、彼らを慈しんでいるのも事実なんだと実感します。
そして「ドロロンえん魔くん」という作品を各スタッフが一貫して作り上げているのも、描きたいモノを書きたいように書いている。でも、「ドロロンえん魔くん」という作品は一貫してトータルコーディネートされ、けっして別作品・別物になっていない巧さはプロの仕事を見せられます。

子供の頃は、ただぼんやりと「えん魔くん」の世界にひたって遊んでいましたが、今、こうして粗を見つけられる目を持ってしまった私の目からも「ドロロンえん魔くん」がスタッフに大事に作られ、何が伝えたいかがきっちりしている優れた作品であることを痛感させられます。
プロって言うのはそう言うものなんだろうな。「何が伝えたいか・それをどう見せたらいいか・そしてキャラクターの性格を自分流にゆがめることなく捕らえ、なおかつ自分の描きたいモノを書く」これぞプロフェッショナル!!

●スタッフの遊び心●
えん魔くん関係のリンク先「えん魔境」さんから教えていただきました。
えん魔くんのシナリオタイトルは第何話ではなく第何夜だったそうです。時間がない中にもスタッフのアニメーションへの愛情や遊び心を感じます。
「好きを仕事にする」というのは非常にステキな事ですが、同時に苦しい事でもあります。そこで苦しまないで楽しむのはまさにプロです。
企画から制作までの時間が短い中、作られた作品なのに「ドロロンえん魔くん」はスタッフに楽しんで作ってもらった作品であることを本当に嬉しく思います。
仕事上つい口にしてしまう「時間がないから・・・」というのは言い訳にしか過ぎませんね(反省\(__ ) ハンセィ)そして「ドロロンえん魔くん」がそれだけのパワーのある作品だと言うことを感じます。

●背景●
も〜、私、えん魔くんに書かれている背景にはほんっとに弱い。あの薄曇りのような空もどんよりとたたずむ建物も、逆に妙に生き生きと書かれた地獄門と化す月も、あの雰囲気にはもう、ホントに弱い。
色を一つとっても夜光塗料の様なうっすらと発光する色彩たまりませんね!大好きです!!基本的に「デビルマン」の時と同じ流れの背景処理だとは思うんですが、えん魔くんの方がより実験的な事が多いです。
エンディングの中にも多用されている実写とどうしたわけだかミスマッチする、あの背景のかき分け方、影と光を巧みに利用して表現した描き方を、縫うように薄曇りの空や夜光塗料の様な色彩。おかげで私は夜光るモノが大好きになってしまいました。

●声優さん達●
アニメの魅力を語るときにはずせないのが声優さんの存在。声の質から来るキャラクターの性格は声優さんの技量以前の問題ですが、まったく有り難いことに「ドロロンえん魔くん」に関わった声優さん達はほんっとにプロフェッショナル揃いです。
声の質も魅力的なのは勿論、演技力もバツグンです。映像を見ないで声だけ聞いててもドキドキしてしまいます。

野沢雅子(のざわ まさこ)さん
「ゲゲゲの鬼太郎」を演じていながらも「えん魔くん」はちゃんと別の声「えん魔くんの声」にしてしまう巧さ。元気のいい男の子を演じさせたらこの方の右に出る人はいないでしょうね〜。
でもって「お婆さん」や「悪女」「ラスカル」なんてとってもかけ離れた役まで出来てしまう芸幅には、本当に恐れ入ってしまいます。

坂井すみ江(さかい すみえ)さん
永井豪ヒロインとしては「デビルマン」の美樹ちゃんも演じていらっしゃいます。
美樹ちゃんより深みのある演じ方をされているなぁと感じます。
雪子姫の微妙な心境変化を、声のみで演じてしまう。「えん魔くん」という雪子姫が呼ぶ声が、雪ちゃんが今どんな心境なのかをよ〜く分かって、切なかったり嬉しかったり、雪子姫がこんなに魅力的なのも坂井すみ江さんの力が大きいです。

肝付兼太(きもつき かねた)さん
サブ的なキャラクターや、ひとくせある脇役を演じたら他の追随を許さないこの方。
三枚目役から意地悪な子、気弱な子などの多彩なキャラクターを演じわける声優さん。
チビで大きなお腹をしたカパエルを演じていますが、ご本人はスリムで背の高い方なのには驚かされました。

滝口順平(たきぐち じゅんぺい)さん
この方もプロフェッショナルな声優さんです!私は「悟空の大冒険」(虫プロ)が大好きなのですが、まさか八戒とシャポーじいが同じ声優さんだなんてしばらく信じられませんでした。だってあまりにもキャラクター的ギャップが大きくて…

●演出●
一口に演出と言ってもいろいろあると思いますが、とりあえず思いつく限り・・・
えん魔くんの世界は現実にそっているんですよね。決してアニメの世界=別次元ではない、「タクシー」や「新宿駅」「学校」「ビル街」「田舎」「団地」「親戚」などのいくつかのキーワードで、視聴者である私たちとの共通点を沢山見せられる。
「親戚」というのもキャラクターに奥行きを持たせています。
両親や兄弟という肉親ではなく「親戚のおじさん」とか「親戚だった」とか「おじいちゃん」という一歩遠い存在を書くことで、彼らがポツンと現れた個別な存在ではない彼らの世界観を想像させます。

●アニメーションとしての魅力●
古さを否めないのも事実です。決してすごく丁寧に作られているとも言い難いです。
でも、「ドロロンえん魔くん」は、動いている動画のおもしろさ満載です。
最近主流なアニメーションの技法(なんていうのか分かりませんが)動いている中で、一瞬わざと静止画にする演出がありますが、えん魔くんが制作された頃はその様な演出はありません。えん魔くんはひたすら動いているアニメーションです。
一瞬変な顔になる事が多いえん魔くん(ファンとしてはこういうのこそゆっくり見たいんですけど)オープニングや、ストーリー上もカメラが止まることはありません。
動いている絵、動くことで見せられる魅力が満載です。静止画にして模写しようとするときにすごく感じます。
止まった絵を描くことになれている私は「あ、このポーズかっこいいから」と静止画にするんですが、動いているからこそ魅せられる絵なんですよねぇ・・・

●原案者の才能●
ここに書くのも変な気がしますが、永井豪先生のたぐいまれなる才能なくしてはえん魔くんは生まれなかったわけです。
豪先生は非常に非凡な才能の持ち主であると同時に、個性的なキャラクターを作り出す方でもあり、えん魔くんを初めとしたレギュラーキャラクターや非行妖怪に至るまで、先生の非凡さが、「ドロロンえん魔くん」を優れた作品に仕上げている事は絶対見逃すことが出来ません。
そして、豪先生は自作をパロディしてしまうくらい、変化を好む作家です。
自作がアニメになり自分の手元から作品が離れ、変化するのを好まれ、そこからまた変化させてしまう方です。
アニメの為にもともと「ドロロンえん魔くん」を考えられたわけですから、アニメの「ドロロンえん魔くん」とマンガの「えん魔くん」が違うのも先生の才能のなせる技ですね。

HOME総合リスト大辞典研究室宝物庫リンク掲示板