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【アニメ】
アニメえん魔くん|アニメスタッフ御妖船ドロロン号アニメBGMアニメED

アニメえん魔くん

※この文章はDVD発売よりもずっと前の2001年に書いたものです。

アニメ版の特徴として、原作では触れられていない公害問題について頻繁に取り上げられている点がある。
これは当時の世相を反映したものであり、美術的にもあえて「汚す」事で視覚的にも強調し、全編に澱んだ空気を漂わせている。
汚い空、汚れた川、スクラップの山。そして公害によって生まれた妖怪達。
彼等は公害によって汚染された、いわば人間の身勝手さにより生まれ変わった被害者であり、痛烈に文明批判を繰り返す。

子供番組で「公害」という社会問題をこれ程ストレートに描き、視覚的にも強く訴えているアニメは当時でも珍しいだろう。「妖怪物」というジャンルであったればこそ描けた「現実」とも言える。
再放送で見返した時、アニメ版の1つのテーマと言えるこの問題に改めて気付いた方が多いのではないだろうか。私はその口である。
つまりこれに関しては当時子供と一緒に観ていた大人の方が敏感に反応したはずである。と言うより反応して欲しい。現実に公害を生んだのは子供ではなく大人なのだから。
そうした自戒の意味を込めて作品作りをしていたならば、制作者側に敬意を表したい。

もう1つの特徴は「雪ちゃん」「雪子姫!」という、お馴染みのえん魔くんと雪子姫の掛け合いだ。
永井豪の女性キャラは男勝りで元気で強い。そこには男女同格思想が含まれている。たとええん魔くんであろうと軽く扱われるのはプライドが許さない。時には食ってかかる位の意識の強さを、この「雪子姫!」が集約していると言えよう。
ちなみに原作にこの掛け合いはない。雪子姫の性格が違うのもあるが、原作では相思相愛ラブラブモードの2人である為、えん魔くんが「雪子姫」と呼ぶ事の方が稀。雪子姫も「雪ちゃん」と呼ばれて反発する事はない。
しかし永井漫画で「男女同格」は既に定着しており、アニメはそれにあやかったのかも知れない。

最後にアニメと原作は同時進行であるものの、ほとんど共通の話はなく、アニメ版においては各脚本家によって全くカラーの異なる話が書かれ、全体の統一性に欠ける点は惜しまれる。
バラエティに富んでいると言えば聞こえはいいが、最終回1話前で「尻子玉」はないだろう(T_T)
まぁ、原作の方も「これで最終回?」な終わり方だったけど…。


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