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別コロスペシャル2月号編[雪ちゃん危機一髪のまき]

※壁紙色、本文の文字色、句読点などは雑誌連載時と同じ雰囲気にしてあります。
■たいくつな授業時間…。平和な学校に"事件"の影が忍びよる…!!(掲載時の柱コメントより)

本編

小学校の授業風景。
「ふあ〜〜。給食のあとの算数って、
 とくにねむたいんだよねー。あふっ。」

心の中でつぶやきながら、あくびをする少年はツトムくん。
「!ふみえちゃんV」
近くの席の女の子に目をやる。ハートマークが付いている所を見ると彼女に気があるな。
「えへへV」
可愛さに見とれていた時──。
「ん?」
ふみえちゃんの首筋に、天井から太い紐のようなものが垂れて見えた。ゴシゴシ目を擦るツトムくん。
「ん〜〜?」
もう一度よく見てみると、それは確かに見える。しかもふみえちゃんの姿に異変が…!
「うっ!うわああ

その頃えん魔くんはコタツで漫画雑誌を読みながら大笑いしていた。
部屋は畳が敷かれた和室のように見えるが、バットやボール、跳び箱などもある。
雪子姫「ちょっとみんな!妖怪パトロールはどーしたの!」
えん魔くん「あー、アレね。きょうはよそーぜ、さみーしさ──。」
カパエル「せや、せや。」
雪子姫「なにいってんのよ!
 わたしたち、悪い妖怪をやっつけるために、人間界へおくられたんじゃない!
 サボったら大王さまにおこられるわよ!」
えん魔くん「うん、そのとーりだ。」
一瞬ムムッと気を引き締めるが、
えん魔くん「でも、たまにゃ いきぬきせにゃ〜〜。」
雪子姫「きゃっ!」
スケベ面で雪ちゃんの着物の裾を覗こうとするえん魔くん。
雪子姫「えん魔くん!!」
建物の外に、バコッ★、ドカ、ボコ☆、と擬音が響く(笑)

[ここが妖怪パトロール秘密基地だ!]
ツトムくんたちのいる校舎の正面向かって右手に体育館、その手前にある小さい建物がそれ。
シャポー「体育倉庫を利用しとるんジャジャ。」
カパエル「ジャ〜ン!」
と、わざわざ説明してくれる妖パト隊。

「はあ。はあ。はあ。」
誰かが息を切らして走って来る。靴に「3−4 山田」の書き文字。体育倉庫まで走って来る。
「えんまく〜〜ん!たいへんだ──!」
ドンドンと激しく戸を叩く。
カパエル「ん?」
えん魔&雪子「カパエル、お客だよ。」
さっきまで喧嘩してたえん魔くんと雪ちゃんが仲良く声を揃える。
カパエル「ヘイ、ヘイ。こーゆー時は気があうんやから…。」
コタツを出てぶつぶつ言うカパエル。分かるぞその気持ち(笑)
「だれや!?くそやかましーやっちゃな!」
戸の向こうに立っていたのは、老人?いや、これはツトムくん!
ツトムくん「たすけてよ──!」
カパエル「ツ、ツトムくんだよ…、ね?」
えん魔くん「おめー、フケたなァ…、ほえ〜〜。」
雪子姫「なにがあったの?」
シャポー「じ、事件ジャ!」
ツトムくん「うう……。とにかくきてよー!」

場面はツトムくんのクラスの教室へ。
「ここか?妖怪パトロール参上!」
その教室にいたのは、皆、老人と化したツトムくんのクラスメイト達。
えん魔くん「な、なんだこりゃあ!?みんな老人になってる!?」
カパエル「ん?なんやこのヒモ…?」
カパエルが天井から下がっている不審な紐を見つけ、手を伸ばした時、えん魔くんの眉毛が振動する。
えん魔くん「気をつけろ、妖怪反応があるぜ!!」
カパエル「えっ!?」
「みィ〜、たァ〜、なァ〜〜。」
天井に、下半身がなめくじ状の恐ろし気な老婆の妖怪が…!(アニメのぶらりジィーに近い感じ)
えん魔くん「でやがったな妖怪め!くらえ!!」
妖怪に向かってステッキを投げるが、突き刺さる前に姿を消す。
えん魔くん「まちやがれ!」
シャポー「ムダじゃよ、もういないジャジャ。」
えん魔くん「あいつはいったい……?」

再び体育倉庫。
シャポー 「あれは怨鬼婆(おんきばばあ)ジャジャ!
 やつは人間の若さをねたみ、若さを吸いとる妖怪ジャジャ!」
雪子姫「若さを吸いとる!?」
シャポー「さよう。若さを吸いとった分だけ、怨鬼婆は若がえるのジャジャ!」
えん魔くん「そうか、それでつとむも…。」
ツトムくんとカパエルはお茶をすすっている。
ツトム&カパ「はあ〜〜っ。」
ごくらくごくらくと一服。
えん魔くん「ジジくせーまねすんなよ!」
ツトム&カパ「だってじじいなんだもん!」
雪ちゃん、「めっ。」とカパエルを引っ叩く。
えん魔くん「と、とにかく!怨鬼婆をのさばらしちゃおけねーぜ!!」
雪子姫「そうよ。自分の若さのために、人間を犠牲にするなんて、ゆるせない!」
怨鬼婆「人間じゃなけりゃいいのかえ!?」
天井を破って、怨鬼婆が現れた!雪子姫の若さが吸い取られる!
雪子姫「きゃああ」
えん魔くん「ゆ、雪ちゃん!! このヤロー!」
怨鬼婆に殴り掛かるえん魔くん。怨鬼婆はみるみる若返ってゆく!
「やはり雪女の若さは特別じゃ!! いっぺんに若がえったぞえ!」
力を取り戻した怨鬼婆に弾き飛ばされるえん魔くん。
「うわ──。」
怨鬼婆「あまりの美しさに声もでぬよーじゃの──。」
若返った怨鬼婆は、かつては美貌を誇っていただけあって、ナイスバディな巨乳美女といった感じ?
若い時は「婆」なんて言われなかったんだろうけど。うつろう時の残酷さってやつですか…。
怨鬼婆「でもこれが見おさめじゃ!ククク。」
えん魔くん「!?」
男性諸氏には羨ましい?胸の谷間に顔を埋めた状態で挟まれるえん魔くん。
怨鬼婆「わたしの美しい胸で死ねるとは…しあわせ者め!」
えん魔くん「た、たしかにな…。あんたの魅力にゃ昇天しちまいそうだぜ。」
雪子姫「!」
えん魔、鼻血出てんぞ。地獄人が”昇天”なんて言うなぁ!雪ちゃんショックー。
「だがよ!てめーの汚ねー心にゃヘドがでるぜ!! くたばりやがれ!!
えん魔くんがサバ折りをかけ、ベキベキと音をたてて怨鬼婆の背骨が砕ける。
血を吐き仰向けに倒れる怨鬼婆。ハガネえん魔は腕力も凄いんだなぁ。惚れるぜっ。
えん魔くん「やったぜ、雪ちゃん。」
雪子姫「はっ。」
雪子姫の顔が元に戻る。
雪子姫「わー、ありがとうえん魔くん!」
えん魔くん「やっぱ雪ちゃんはこーでなきゃ!」
カパエル「オヤ、ツトムくんも…。」
シャポー「めでたしめでたしジャジャ。」
カパエル「それにしても口ほどにもないヤツやったわ!」
えん魔くん「おめーがいうんじゃねーっての!」
和んでいる後ろで怨鬼婆の骸が溶け、躯が巨大化していく。
倉庫が崩れ、外に避難するえん魔くん達。
えん魔くん「な、なんなんだ〜〜!?」
怨鬼婆「もう若さなどどーでもよいわ!!
 おまえたちにわかるか!?醜いいまま生きつづけねばならぬ苦しみが!
 わしの三千年間の孤独が!!」
腐敗した躯をさらけ、逆上する怨鬼婆。
一体どういう能力の持ち主なのか、口からバズーカ砲もどきを吐き出す。
怨鬼婆「怨(おん)!!」
えん魔くん「うわー。」
校庭にクレーターが出来る。凄まじい破壊力だ。
えん魔くん「み、みんな生きてるか…!?」
全員、えん魔くんの妖マントでなんとか助かったようだ。それでも皆流血している。
ぜえぜえ息を吐きながら、ステッキを振り回し怨鬼婆に向かっていくえん魔くん。
「やりやがったな、このヤロー!!」
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校庭には炎と焼け跡に煙が立ち昇っている。
怨鬼婆「クックックッ、これでおしまいかい?口ほどにもないやつらよ!!」
負傷し、ボロボロのえん魔くんと雪子姫。
雪子姫は覚悟を決めたように、別れの言葉をこぼす。
雪子姫「も、もうダメみたい…。
 えん魔くん。今までいっしょにやってこれて楽しかったわ。ありがとう…。」
えん魔くん「雪ちゃん!!」
だが、えん魔くんは諦めていなかった。
えん魔くん「まだ終わっちゃいねーぜ!!」
雪子姫「!?」
力を振り絞ってステッキを掲げるえん魔くん。雪子姫もそれに呼応し、2人でステッキを掲げる。
シャポー「おお〜〜!! こ、これは!?」
何と、ステッキから2頭の竜が出現した!
シャポー「炎の竜と氷の竜が天空をかけのぼってゆく!!
 ふたりの闘志が奇跡をよびおこしたのジャジャ!!」
2頭の竜が怨鬼婆を囲む。パアア…と光を放ち、怨鬼婆の姿が消えてゆく。
怨鬼婆「わ、わしが…、死ぬ…、の…、か…。」
シャポー「怨鬼婆よ、感謝しろジャジャ。
 やっと生きつづける苦しみから解放されたんジャから…。」
雪子姫「すごい強敵だったけど…。」
カパエル「なんや かなしー妖怪でおましたな…。」
えん魔くん「……ああ。」


■えん魔くん、雪子姫の執念が、悪をほうむった。ハガネ先生の次回作を待っててね!!

ドキドキ!えん魔くん別コロスペシャル2月号編/完

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